横浜 De-Sugosu #2

2016.夏の横浜山手 : ベーリック・ホールにて

お盆休みであったこの日。久し振りに、横浜山手にあるベーリック・ホールに行ってみようと思った。そう思ったのも、その少し前の頃より、ノクチルクスf0.95を常用で使用しており、少しはその極端に薄いピントの幅に慣れて来ている様な気がしたからだ。普段なら、撮影をした戦利品のクオリティーを少しでも高める為、なるべくそのリスクを避けようとして、せいぜいf1.4あたりをカメラに付けて出回る事が多いのだが、その日は、少々気合を入れノクチルクス1本、おまけにボディーはモノクロームで勝負をしてこようと思った。

ありがたい事にベーリックホールは、我が家から徒歩で約15分の近さ。途中、横浜山手界隈では一番の難所と云われる急こう配の続く坂 : 汐汲み坂を経由しなければならないが、とにかくその日、私は妙に意気込んでおり、猛烈な真夏の陽射しが照りつける中その坂を登っていた。頂上に着く頃には、すっかり汗だくになってはいたが、家を出た頃の気持ちに揺らぎは無く、とにかくf0.95一本で今日の仕事を完璧にこなすんだと、その決意は更に高まってもいた。

今まで何回も訪れた事のあるこの洋館。建築当時のままの古いガラス窓から差し込んで来る光は、謂わば昔の光。館内はいつだって優しい光に溢れていて、そんな光の具合もライカならばきっと捉えてくれるはずである、などと。。。既に撮影ポイントや構図などは頭の中に入っている訳だが、果たしてノクチルクスで撮影をした写真は、その見慣れた撮影結果とはいかほどの違いを見せつけてくれるのであろうか? 元町に下り、いつものカフェでビールを口にする事を楽しみとしながら、しばし、静寂に包まれた昔の光の中に身を置いた。

[ 使用機材 ]
カメラ : Leica M モノクローム / レンズ : LEICA NOCTILUX-M f0.95/50mm ASPH.